臘八粥
「臘八節」と呼ばれる旧暦12月8日(今年は1月7日)、中国の人々には「臘八粥」と呼ばれる甘い粥を食べる習慣がある。北京郊外にある八大処公園では、7日午前10時ごろ、園内の寺院でふるまわれる臘八粥を味わうため、1千人を超える人々が長蛇の列を作った。付近の長い回廊や垣根、木陰などが、粥を楽しむ客で埋め尽くされた。
「臘八節」の起源には、多数の説がある。最もよく知られているのは、仏教の開祖である釈迦(しゃか)が悟りを開いた日とされる「成道(じょうどう)の日」起源説だ。インド・カピラ城の王子として生まれた釈迦は、城を出て出家した後、バラモン教の経典を学び、6年にわたる苦行に励んだ。その後、菩提樹の下で瞑想に入り、旧暦12月8日に悟りを開いたとされる。
中国では、仏教が盛んになるとともに、臘八粥が民間に広まった。裕福な家では、数十種の穀物や豆類、果実を使って粥を作り、親戚や友人などにふるまったという。貧しい家庭でも、粟(あわ)と棗(なつめ)の粥を作り、「臘八節」を祝う。「臘八節に粥を食べなければ、来年はもっと貧しくなる」という言い伝えも残る。
食文化として中国人の間に根付いている臘八粥は、単なる習慣というだけでなく、科学的に見ても優れた「健康食品」だ。清(1644〜1911年)の栄養学者・曹燕山が著した「粥譜」によると、臘八粥は栄養バランスがよく、吸収しやすいため、食事療法に適している。また、胃や脾臓、心臓、肺、腎臓、肝臓の調子を整えるほか、喉の乾燥を防ぎ、目をすっきりさせ、便通をスムーズに保ち、心を落ち着ける働きがあるという。 |