Question(1) 何らかの排尿症状を有して泌尿器科外来を受診した症例の癌の合併頻度は?
Answer 下部尿路症を有している224例についてPSA検査と直腸診をおこない,異常者に対して前立腺生検を行った.米国人では6.7%との報告があり,年代別に比較した場合,特に70歳代の癌発見率が21%と高くなった. 排尿症状を有する症例における前立腺癌の発見率を研究した重要な論文であり,排尿症状の有症状症例は前立腺癌の高危険群であり,尿症状の治療前に,癌の鑑別をまずおこなう必要がある.
Question(2) 父親が前立腺癌の場合,前立腺癌の心配はないか?
Answer 691例の前立腺癌患者と640例の対照(非前立腺癌)について前立腺癌の家族歴の調査をおこない,前立腺癌罹患率と家族歴の関係を検討した.第一度近親者にひとりの前立腺癌患者がいた場合,前立腺癌罹患危険率は2倍になる.また,第一度近親者に2人以上の前立腺癌患者がいた場合,前立腺癌罹患危険率は5〜11倍になる. 父親や兄弟に1人も前立腺癌の方がいない場合に比べ,約2倍危険率が高くなる.もし,兄弟に前立腺癌の方がいる場合,5〜11倍に危険率が高くなる. 前立腺癌の危険因子の解明は重要であり,第1度近親者の前立腺癌症例の数に応じた相対危険度を算出しており,重要な論文である.
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