約4割の子どもがメタボ予備群!
子どもの肥満を、「元気でいい」と楽観視するのは考えもの。幼児の肥満は学童期の肥満に、学童期の肥満は思春期の肥満につながり、成人の肥満へとつながりやすいのです。肥満は糖尿病をはじめ、高血圧や脂質異常症、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群などの生活習慣病の温床となります。
しかも、腸間膜の周りに余分な脂肪がたまる『内臓脂肪型肥満』になると、子どものうちから肥満に伴う合併症が発病しやすくなります。おなかがポッコリと出た中年体型の子どもたちは、血糖値や中性脂肪、LDL(悪玉)コレステロール値が高い傾向にあり、メタボリック症候群(以下メタボ)への道をたどることにもなりかねません。そこで子どもの肥満対策には、内臓脂肪をいかに落とすかが大きな課題になってきます。
2006年に一般学童を対象に行われた調査の結果は、驚くべきものでした。原光彦先生らが学校検診を受けた小中学生217名に対して、厚生労働省作成の『こどものメタボ診断基準』をもとに調査を行った結果、全体の1.4%の子どもたちがメタボと診断され、メタボの予備群と考えられる子どもたちの数は、なんと40.6%にも上ったのです。
メタボとは、内臓脂肪型肥満に加え、血圧が高め、血糖値が高め、血中脂質異常のうち2つ以上が該当する状態で、動脈硬化から心臓病や脳血管障害の危険率が高まる症候群のこと。学童期からメタボと診断された場合、長期間、血圧や血糖値が高い状態が続くので、中高年以降にメタボになった人に比べて、早くから動脈硬化の危険性が高まり、若い年齢でも心臓病や脳卒中などをおこす確率が高くなります。子どものメタボは、大人のメタボより危険であるといえるのです。
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